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自営業(岐阜新聞コラム「素描」#1)

私の仕事場は岐阜市の伊奈波神社の近くです。初詣、長良川での花火大会、岐阜まつりなど年に何度か賑わいます。通りは桜の並木で季節を感じお寺の多い町です。かつて近所にはうどん屋、パン屋、八百屋、酒屋等あって歩いて買物や外食が済ませられました。
父は戦後間もない頃からここにデザイン屋を開いており、商業図案家と呼ばれていました。私も父と同じ仕事を選び、今は例えば会社のマーク、パンフレット、ウェブ制作など広告のデザインをしています。
時代が経つにつれ、多く職人の技がコンピュータにとって変わったり、個人より大きな代理店や会社に仕事が回ったりするなど環境は変化していきました。それと同じように街にも変化が訪れ、近所のお店が一つずつ暖簾を下ろしていきました。
私もずっと調子がいいわけでもなく、浮いたり沈んだりしながらなんとか生きてきましたので、他人事には思えません。
仕事の量や収入は常に不安定だし、誰かに保障されるわけでもありません。退職がない代りに病気になったり廃業しない限り余生というものがありません。不安と孤独に負けないようにするのが大変です。
でも個人だからいいという所があります。まず、仕事の全部を把握できること。また、お客さんが時には経営者だったりするので、いろんな業界の話が聞けたり熱い思いを感じたり励まし合ったりできます。そして一番素晴らしい面は、自分の好きな、できる仕事で社会の役に立てたり、価値を生み出せるやりがいです。 それぞれのお店がいきいきできる町を作っていければいいと思います。

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