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ユーモア表現とポスター(岐阜新聞コラム「素描」#7)

人間の眼はぜいたくなもので、テレビは映像がキレイで大きなものが人気ですし、印刷物もふた昔前と比べると粗悪なものは少なくなり、美しいのが普通になりました。これらはコンピュータの発達による所が多いと思いますが、映像やグラフィックを考えるのが人間、というのは変わっていません。
愛産大の科目で「ユーモア表現技法」といって、絵でユーモアを表現するというのがありますが、学生たちはいざ考えてみると手が止まってしまい次第にユーモアというよりユーウツになってしまうようです。
数年前、ロシアのチャイカさんがモスクワから自身の写真を送ってくれました。背景には赤の広場の教会と、夕焼けの大きな太陽が赤く丸くありました。ロシアと日本の友好をたった1枚の写真で表現しており、こんなメール自体がユーモアだと思いました。
美術の教科書などでも有名なエッシャー(階段を上り続ける「上昇と下降」)やマグリット(パイプの絵の下に「これはパイプではない」と書いたもの)は錯視やトリックで不思議な空間を表現しました。
フランスのポスター作家サヴィニャック(雌の牛が自分の乳でできた牛乳石鹸に乗っている「モンサボン」)は、人へのちょっと皮肉を交えたやさしい眼差しを軽妙に表現しました。
私たちは毎日いろいろなものを見ていますが、その中でも時々すっと引き込まれるものがあります。私は特にこんなユーモアやとんちのきいた物が大好物です。言葉を使わず、見るだけでわかるユーモアを、日常生活の中から探してみませんか。

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